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概要:近年、金融緩和政策が実施されて以来、外国為替市場で円安の傾向が顕著になっています。今回は、円高・円安およびメリット・デメリット、為替相場を左右する要因について解説します。
ニュースで「円高・円安」という言葉をよく耳にするでしょう。近年、金融緩和政策が実施されて以来、FX市場で円安の傾向が顕著になっています。これにより、輸出企業の業績が向上するなどの良い影響が期待される一方で、内需型企業や中小企業、家計には負担が増加し、日本経済に対する悪影響を懸念する声もあります。
そもそも、円高・円安とは何でしょうか?
円高・ドル安とは、アメリカのドルに対して、円の価値が上がる(高くなる)ことです。
円安・ドル安とは、円に対してドルの価値が下がる(安くなる)ことでもあります。
円の価値が上がると、1ドルで交換できる円が少なくなります。例えば、手元にある1万円をドルに両替すると、為替相場が1ドル=100円であれば、1万を100で割った100ドルになります。しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万を80で割った125ドルになり、また、1ドル=125であれば、1万を125で割った80ドルになります。
ちなみに、日本銀行HPでは
「円高とは、円の他通貨に対する相対的価値、言い換えると、円1単位で交換できる他通貨の単位数が相対的に多い状態のことです。逆に、円安とは、円の他通貨に対する相対的価値(円1単位で交換できる他通貨の単位数)が相対的に少ない状態のことです。」
(日銀:円高、円安とは何ですか?より引用)
・メリット
①輸入品の価格が下が、海外旅行が安くなる
②外貨建て資産の価値が上が、輸入産業の業績が伸びやすい
・デメリット
①デフレ圧力の強化
②海外で日本製品の販売が難しくなり、輸出産業の業績が落ち込みやすい
・メリット
①インバウンド需要の増加
②海外で日本製品が売れやすくなり、輸出産業の業績が伸びやすい
・デメリット
①家計や企業コストの負担増加
②輸入コストが高くなり、輸入産業の業績が落ち込みやすい
「円」を外国の通貨に換える際の交換比率が為替相場です。円やドルなど通貨間の交換比率は、モノの値段と同じように、需要と供給のバランスで決まり、需給関係が変動すれば為替相場は変動します。
円を買いたい人が増え(円の需要が拡大)、ドルを円に替える動きが活発になると「円高」になります。逆に、円を売りたい人が増え(円の需要が縮小)、円をドルに替える動きが広がると「円安」になります。
日本円(JPY)は世界で最も取引される通貨の一つです。その価値は大まかには日本経済のパフォーマンスに依存しますが、より具体的には、日銀の政策、日本とアメリカの金利差、または投資家の動向や市場のリスクセンチメントなどの要因によって決定されます。
日銀の動向は為替相場にとって非常に重要です。
「緩和的な金融環境を当面継続する」という日本銀行の姿勢に対して、アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)は「インフレ率が持続的に2%に向かっているとの確信がさらに強まるまで利下げを行わない」という方針を示しています。これにより、金利差が縮小する可能性が極めて低いので、円売り圧力が高まります。
為替相場の急激な変動を抑え、その安定化を図るため、日銀はいつも為替相場に直接介入します。財務省は31日、政府・日銀が4、5月に実施した外国為替介入額が総額9兆7885億円だったと発表しました。過去1カ月間の円買い・ドル売り介入としては、2022年10月の6兆3499億円を上回り、過去最大規模となりました。
金利差は為替相場に大きな影響を与えます。一般的に、金利が高い国の通貨は投資家にとって魅力的であり、通貨の価値が上がりやすいです。
日本の金利が低く、アメリカの金利が高い場合、投資家は円を売ってドルを買う傾向があります。この現象は、「キャリートレード」と呼ばれています。
さらに、投機筋もこの金利差を利用します。「円売りが続くだろう」と見込んで、先取りで円売りを仕掛けている可能性も高いと思われます。
投資家の動向や市場のリスクセンチメントが為替相場を大きく左右します。市場のリスクセンチメントは、経済指標、政治情勢、地政学的リスクなどの要因によって変動します。また、投機筋や大規模な投資ファンドや機関投資家の動向も為替相場に大きな影響を与えます。
日本円は通常、避難通貨と見なされていて、一定の安定性を持っています。不安定な時期には、日本円は他の投資リスクが高いと見なされる通貨に対して相対的に高くなる可能性があり、円買い圧力が強くなります。
為替相場を左右する要因は多岐にわたります。総じて、為替相場の変動には多くの要因が絡み合っていますが、投資家の動向や市場のリスクセンチメントはその中でも重要な要素の一つです。これらの要素を理解し、適切に分析することが、為替相場の動向を把握する上で重要です。
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